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研究論文

「第3次みえ歯と口腔の健康づくり基本計画」(中間案) に対する意見を三重県に提出しました。

歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士数の東紀州データが間違っている。実際は16名(実質は14名)なのに142名となっている。人口10万人当たり32.8名歯科技工士が居るとなっているが、実質は3名ほどしかいない危機的状況がごまかされてしまう。早急に訂正してください。

基本計画の概念図基本施策の推進項目に調査・研究という項目があるが、県内の義歯装着者の満足度調査がなされていない。保険適応義歯装着者の危機的状況を行政が認識する為にも早急に調査が必用!

基本計画の評価と課題、「高齢期」の項目に機能不全の義歯による口腔内及び全身のフレイル重症化が問題点としてあげられていない。以下に示すのは現実に起きている問題である。

この義歯は正規の有資格者が製作したものである、

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上顎義歯の正中が1歯分ズレている。こんなものがまかり通っているのが三重県の保険適応義歯の現実である。これでは機能するはずがない、実際にこれを装着された患者さんは持病のパーキンソン病と全身のフレイルが悪化した。それでも担当医を信じる患者が転院を躊躇していたので状態はさらに悪化した。見かねた家族が半ば強引に転院、義歯を西田歯科技工所製に変更した。減り続けていた体重が2kg回復し患者本人も不適合義歯の悪影響の恐ろしさを痛感していた。

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画像は新製された義歯、 残念ながらこの患者さんは令和5年12月14日午前3時55分パーキンソン病に起因する突発性不整脈で帰らぬ人となった。まともな義歯を医療機関がもっと早期に提供していればフレイルの悪化を緩やかなものにできたはずである。パーキンソン病の悪化にも抵抗できたかもしれない。経口摂食は健康維持の基本である、そのもっとも重要な要素である咀嚼咬合の機能を担っている義歯がこのような惨状を呈している。この例は極稀なケースではない、県内至る所、至る施設で散見される。このことに行政はもっと知るべきである、一刻も早い調査を望む。そもそも、この基本計画を担当している部署に歯科技工士がいないことが最大の問題点。担当責任者が歯科衛生士ではないかと想像できるほど内容が予防に偏っている。
現在、三重県では歯科技工士を養成する機関が一つもない、
少子高齢化が著しく進むこの地域において、増え続ける高齢者の医療費をいかに抑制すのかは喫緊の課題である。
義歯の不具合による摂食障害は本来あってはならない現象であるが、保険の粗悪義歯が市井に溢れている現状はまさに危機的である。噛めない使えない入れ歯が高齢者のフレイルを加速させ、要介護度を重くする。そうして、本来不要な社会保障費が無駄に使われていく。その保険義歯を製作担当している歯科技工士数の減少は危険水域に達している。特に三重県、中でも東紀州などは基本計画に記載されている142名の実に10分の1しか存在しない。しかもそのほとんどが58歳以上のシニア層である。後10年もすれば県内で保険義歯を製作できる歯科技工士は消滅すであろう。その時、県内在住の保険でしか歯科診療を受けられない高齢者層はどうやって義歯を手に入れるのだろうか?心底心配する。
 現状の保険点数では保険の義歯製作料は殺人的に低い、そのわずかな製作料を歯科医師側に管理料として3割以上も持っていかれている。1歯から4歯の最も小さな義歯においては1つ製作して僅か7000円程度しか得られない、真っ当に機能するものを製作すれば1日に3個が限界である、3個作って21000円。諸経費半分、実質手取りは10500円にしかならない。これでどうやって生計を立てるのか?ひどい話である。こんな世界に未来有る若者は来ない、行こうとすれば親が止める。こうして歯科技工士は絶滅の一途をたどっている。
 現在、三重県内に歯科技工士養成機関は存在しない。歯科技工士の養成を他都道府県に依存している状態である。歯科技工士の資格取得のための奨学金制度を運用しているらしいが返還免除の条件は資格取得後数年間県内にて勤務することらしい。これは、最も仕事のできない期間、雇用に関する経費を受け入れる就職先が負担することになる。歯科技工士養成にかかる経費は公費で負担すべきである、新卒の奨学生を受け入れた職場に何らかの補助をすべきである。誤解の無い様に述べるが、歯科技工士が居なくなっても歯科技工士は困らない。困るのは歯科技工の出来ない歯科医師と患者さんである。歯科技工士が居ないのなら機械化(デジタル化)すればよいではないか!そういう声も一部にある、歯冠修復は実際それでよい。残念ながら義歯は、中でも最も需要の多い部分義歯は現時点デジタル化できない。熟練した歯科技工士が1個1個すべて違う口腔内に合わせて作る逸品ものなのである。その作り手が居なくなるという現実をお知らせする。来る2025年問題、義歯の需要がピークになる期間、これにあわせて早急に対策をとるべきである。
 以上、「第3次みえ歯と口腔の健康づくり基本計画」(中間案)
に対する意見でした。

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